2018年度公開シンポジウムについて

日本教育心理学会では,教育心理学に関する研究の振興と研究成果の社会への還元を目的に,公開シンポジウムを開催しています。
2018年度の公開シンポジウムは以下の日程で開催します。

 

※本シンポジウムは終了しました

 

2018年公開シンポジウム

テーマ

本物の自尊心を育むために

日 時

2018年12月2日(日) 13:00から

場 所 東京大学本郷キャンパス 国際学術総合研究棟 文学部3番大教室 アクセスマップ

会場のご案内

参加無料 どなたでも参加できます。直接会場にお越しください。
企  画 日本教育心理学会 研究委員会
司会・話題提供 自尊心の低さは美徳の裏返しか?:文化社会心理学の立場から
杉森伸吉(東京学芸大学)
話題提供 国際比較と時代変化から見る日本人の自尊心:質問紙調査のデータから
小塩真司(早稲田大学)
本物の自尊心が低いことの諸問題:小児精神医学の立場から
古荘純一(青山学院大学)
自尊心の向上に関する実践研究:教育臨床の立場から
伊藤美奈子(奈良女子大学)
本当の「自己肯定感」とは?:測定から教育まで,抜本的に見直す
山崎勝之(鳴門教育大学)

 

◆企画趣旨

昨今,様々なデータにより日本の若者の自尊心が低いということが問題視されている。
しかし,文化社会心理学の中では,この自尊心の相対的な低さは,むしろ日本人の特長や美点を反映している可能性が高いことも理解されている。たとえば,欧米では自己高揚的傾向が強いため,自尊心得点が高く出やすいが,それは必ずしも実力に裏打ちされた自尊心ではなく,自尊心を高く保たなければ社会適応しにくいという状況に対する一種のマインドセットであると考えられる。いっぽう,日本人の場合には,他者から批判されないように自ら自己の欠点や改善点を見つけ出し,問題点を改善しようとする中で,実力が高まるとともに,謙虚さなどの美点にもつながる。Markus, H.は,アメリカ人は自分と異なる意見を聞くときに,頭の中が反論でいっぱいになって素直に聞けないが,日本人のいいところは,自分と異なる意見でも,頭の中を白紙にして聞けるところだ,という指摘もしている。

また,日本人は現時点での自己の欠点などを見出して改善しようとするため,自尊心の得点は低めに出やすいが,こうした改善を重ねる結果,将来の自分は幸せになると信じていることを示すデータもある。ただし,自己批判的傾向が強まりすぎると,うつや自信喪失などの病理的状態につながりうる。

さらに,欧米の場合は自分で自尊心を高く保つ必要があるが,日本の場合は,謙譲の美徳により,自分を低めて相手をあげ合うことにより,お互いに相手の自尊心を高めあうような,互恵的社会でもある。こうした安心社会は,欧米の多民族社会からは羨望のまなざしで見られている。

したがって,Rosenbergの自尊心尺度のように,他人に比べて自分が個人的にどの程度有能か,ということを問うような方法では,高い値が出にくいことをもって,一概に問題視するべきではない。真に自尊心を高めるとはどういうことか,客観的なデータ,測定法,うつなどの病理との関連,教育的介入の効果,などの点から考える機会としたい。

 

2018年度 公開シンポジウム チラシ(PDF:1.7MB)
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これまでの公開シンポジウム

タイトルをクリックしていただくと『教育心理学年報』に掲載されているまとめがご覧いただけます。

2017年12月3日(東京) 加齢に伴い向上・維持する能力を発掘する
2016年12月4日(大阪) 発達障がいにどう向き合うか
―特別な配慮を必要とする児童・生徒の現状と学校適応―
2015年12月5日(東京) 学力格差は超えられるか
―教育心理学からの挑戦―
2014年12月13日(東京) 青少年のスマートフォン&インターネット問題にいかに対処すべきか
―社会と教育心理学との協働に向けて―
2013年 9月28日(仙台) 被災した子どもの発達・教育をどう支援するか
-東日本大震災における心理的支援のこれからを考える-
2012年 8月26日(東京) 環境問題やリスクに対して主体的・クリティカルに向き合う市民の育成
2011年 8月27日(名古屋) 生活の中の「ジェンダー問題」とは何か?
―女性にも,男性にも,不都合なジェンダー問題を明らかにする―
2010年 8月 7日(横浜) 特別支援教育と教育心理学
―学校における心理教育的援助の実践―
2009年 8月 1日(福岡) 創立50周年記念シンポジウムⅡ
「伝えあう力」を育てる授業づくり
―新教育課程における学習活動の創造―
2008年 9月13日(京都) 創立50周年記念シンポジウム
言語力
―考える力を育むことばの教育―
2007年 8月 4日(東京) 21世紀型学力の育成を目指して
―学力低下論争を超えて―